第15回
     3月28日掲載
越冬の意義

「は〜るがき〜た〜、は〜るがき〜た〜、東北にもきた〜」と歌いたくなるような暖かい日の光。長く厳しい冬を過ごしただけに、春を全身で味わう喜びに満たされます。


 堀辰雄の作品には、冬の冷たい風こそがもたらす美しい空を描いた場面があります。厳しい状況があるから、その反対のものを深く味わうことが出来る
。例えば、闇と光。もし光のみの世界にいたら、明るさも物の美しさも、よくはわからないでしょう。無と有も然り。有のありがたさは、無を体験してこそのもの。その他、苦と楽、貧と富、虚と実など、沢山ありますね。


 宮澤賢治は、「仕事の原動力は悲しみ、寂しさ、である」、苦難が真の芸術を生み出すと考えていました。また、倉田百三も、「さびしい時はさびしがるがいい。運命がお前を育てているのだよ。」と書いています。私も、これまで、「良い仕事は孤独の中から生まれる」と信じ、論文を書いてきました。それ故、本が取り持つ縁で、新聞の取材やラジオの収録など、今まで出会えなかった人々とも話せる喜びを、一層強く感じています。


 3月は変化変動の季節。どんな状況にあろうとも、その事がいつか一層大きな喜びを感じるために役立つと捉えたいものです。ロマン・ロランは、人生の戦いに疲れた時、亡きベートーヴェンと語り合うことによって、勇気を与えられたといいます。心が疲れた時は、カモミールティーもいいですが、こんな音楽療法もアリですよ。そうそう、ラジオは16日夜9時ON AIR(ラジオ3)です。Tプロデューサーと出演します。お楽しみに。

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