第19回
     5月28日掲載


マルモッタン美術館展仙台上陸まで、いよいよ1週間足らずとなりました。広瀬川に架かる仲の瀬橋を渡ると、そこは緑豊かな文教地帯。その中に佇む宮城県美術館は、建物自体がまさにアートです。モネ、ルノアールなどの作品に加えて、日本での本格的な紹介が初めてというモリゾの作品も展示されるとの事、フランスへ行かずして触れられる喜びに、胸躍る思いです。


美は、時を越えて、人の心に深い示唆を与えるものです。堀辰雄やプルーストも、マネ・モネ・ルノアール等の絵を好み、哲学・心理学からよりも、深い暗示を与えられました。


モネは、まだ目が見えていた時、淡い青や緑を使って睡蓮の風景を描いていましたが、白内障に冒されてからは、橙や黄色、赤、茶色の暖色を使ってその絵を描いたと言われています。見える時には気付かなかった、新たな光彩。画家の千住博氏は、「失明寸前に追いやられて、本当の意味でモネは『虚』に対する『実』の魅力を知った」と述べています。そういえば、牧師と盲目の少女の物語である、ジッドの『田園交響楽』にも、似たようなことが書かれていますね。また、ベートーヴェンも、耳が全く聞こえない中で、鳥の声や小川の流れを、彼の内から再創造させました。


人は、目に見える世界での評価の中で生きていますが、芸術作品を前にすると、それから示されるもう1つの世界に気付きます。世界中の人々が、争いではなく平和を求めている今日、印象派の絵画と対峙し、画家からのメッセージを受け取って来ようと思っています。

 

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