第26回
     10月18日掲載
いつも隣に芸術を

中国の文豪・魯迅が、仙台で医学を学んだ時から今年で100周年、今月は様々な記念イベントが開催されるそうです。熱心に医学を学んでいた魯迅は、ある時、肉体よりも精神の重要性に目覚め、文学へと転身してしまいました。


日本の近代作家の中にも、理系でありながら文学の道に転向した人々がいます。体を健康に保ち、科学技術を進歩させても、そこに健全な精神が伴わなければ、本当の幸福を手にすることは出来ません。人間に備わっている、科学的な左脳と芸術的な右脳は、等しく大切に育てられるべきです。科学の恵みを受け、豊かさを得た私達の暮らし。なのに、悲惨なニュースが後を絶ちません。文芸の中には、もう1つ必要な豊かさ、人間の尊厳や存在意義、勉強をする目的などなどが、ちりばめられています。日常は、決して平坦ではなく、嬉しい事も悲しい事もありますよね。私も、喜んだり、へこんだりする中で、文学や音楽から真理を学び、いかに生きるべきかを考えさせられ、心の軌道修正を促されてきました。


長い間愛され続けてきた作品には、作者の体験から生み出された固有のメッセージがあり、それは、現在にいる私達を、永遠へと誘ってくれます。最近、宮澤賢治の作品が、NTTドコモ東北のCMや、小学校の学芸会、紙芝居などで取り上げられているのを見聞きし、嬉しいです。ケータイの恩恵に浴しつつも、澄み切った秋の夜空に、賢治が愛した星を探してみませんか。科学と芸術の融合を提唱した、賢治の心に近づけるかも知れません。

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