第8回
   12月7日掲載
わらしべ的人生観
 数年前、学生時代を仙台で過ごした、父の友人K氏と会いました。関西に住むK氏は、昔を懐かしみ、広瀬川・川内を歩いて来たとの事、ホテルのバーでしばし、色々な話を聞かせてもらいました。

K氏は、理系であるにも関わらず、歴史や文学に大変詳しく、昔から「大和は国のまほろば−」が口癖で、お寺や古墳の話もしてくれました。その日、偶然耳にした『わらしべ長者』の教えが、私にとって忘れられない言葉になったのです。即ち、最初につかんだものを離すな−。

当時、私は、自分の研究テ
ーマである、日本文学と音楽との比較に対する批判に苦しんでいました。加えて、文学部冬の時代と言われる中、進路についても悩んでいました。K氏の言葉が耳に残り、「そうだ!わらしべ1本あればいい。この研究を続けよう。」と思ったのです。それからは、迷うことなく、計11篇の論文を書き上げ、本にすることも出来ました。その本が取り持つ御縁のありがたさは、数え切れません。

文学や音楽の中には、真理が隠されています。科学は、日々進歩し、利便を与えてくれる一方で、戦争の武器にもなっています。真理を知ることは、科学を平和と幸せのために用いる上で、とても大切なことではないでしょうか。

教養とは、学問を修めると同時に、心を修養する
ということ。その意味で、文学や音楽の果たす役割は大きいと思います。


たかがわらしべ、されどわらしべ。わらしべなくして幸福なし。
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